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めまいと吐き気・冷や汗の原因と対策|メニエール病や脳の病気?

めまいと吐き気・冷や汗の原因と対策|メニエール病や脳の病気?

突然、あるいは急に起こるめまいや吐き気、そして伴う冷や汗は、多くの人が一度は経験するかもしれない不快な症状です。
その原因は、耳のトラブルから自律神経の乱れ、特定の病気まで多岐にわたります。

視界がぐるぐる回る感覚や、体がふわふわと浮くような感覚など、めまいの種類も様々です。
中にはメニエール病や脳の病気といった注意すべき疾患が隠れている可能性もあります。
これらの症状の背景にある原因を理解し、適切な対策を知ることが重要です。

めまいと吐き気が同時に起こる主な原因とは?

めまいと吐き気が同時に発生するのには明確な理由があります。
体のバランスを保つ平衡感覚に異常が生じると、その混乱した情報が脳に伝達されます。
脳がこの異常な信号を処理する過程で、自律神経の中枢が刺激されてしまうのです。

自律神経は、内臓の働きをコントロールしているため、その働きが乱れると、吐き気や嘔吐、さらには冷や汗や動悸といった症状が引き起こされます。
つまり、めまいは平衡感覚の問題であり、吐き気や汗はその二次的な反応として現れます。

耳のトラブルが引き起こす回転性のめまい

周囲がぐるぐる回る回転性のめまいの多くは、耳の奥にある内耳のトラブルが原因で起こる末梢性めまいです。
内耳には体の平衡感覚を司る三半規管があり、その中にある耳石という炭酸カルシウムの粒が剥がれて動くことで、良性発作性頭位めまい症を引き起こします。
このめまいは、起床時や寝返りを打ったとき、横になるときなど、頭の位置を特定の方向に動かした際に、目が回るような感覚が誘発されるのが特徴です。

また、内耳のリンパが増えすぎて水ぶくれの状態になるメニエール病では、激しい回転性めまいと共に、耳鳴りや難聴を繰り返します。
その他、ウイルス感染によって前庭神経に炎症が起こることもあり、これらのめまいでは眼振という眼球の揺れを伴う場合があります。

脳の病気が隠れている危険なケース

体がふわふわと揺れる、あるいは雲の上を歩いているような浮動性のめまいは、脳の病気が原因である可能性を疑う必要があります。
特に注意すべきなのは、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害です。
これらの病気は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで脳への血流が阻害され、平衡感覚を司る小脳や脳幹にダメージを与え、めまい発作を引き起こします。

また、脳腫瘍やがんが脳を圧迫することでも、同様の症状が現れることがあります。
これらの脳に起因するめまいは、手足のしびれ、ろれつが回らない、物が二重に見えるといった他の神経症状を伴うことが多く、命に関わる危険なサインであるため、直ちに専門医の診察を受けることが不可欠です。

自律神経の乱れが影響している場合

過労や精神的なストレス、慢性的な寝不足や不規則な生活は、自律神経のバランスを崩す大きな要因となります。
自律神経は血圧や心拍数などを無意識のうちに調整しており、その機能が乱れると血流のコントロールがうまくいかなくなり、立ちくらみや、体がふらつくようなめまいを感じやすくなります。
特に、強い精神的ストレスや疲れが溜まっている状態、睡眠不足が続くと症状が現れやすくなります。

これらの症状は、心身の不調のサインであり、うつ病などの精神的な疾患の一症状として現れることもあります。
生活習慣の改善で良くならない場合は、心療内科や精神科への相談も選択肢の一つです。

更年期やストレスによるホルモンバランスの変化

40代以降の女性に見られるめまいは、更年期によるホルモンバランスの乱れが関係している場合があります。
更年期には女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少し、このホルモンバランスの急激な変化が自律神経の働きに影響を与えます。
その結果、めまいや吐き気のほか、のぼせ、動悸、イライラといった更年期障害特有の様々な症状が引き起こされるのです。

ストレスもホルモン分泌に影響し、症状を悪化させる一因となりえます。
めまい以外に月経不順や気分の落ち込みといった他の不調も併発している場合は、婦人科を受診し、ホルモンバランスの状態を確認してもらうことが推奨されます。

心臓や血圧の異常からくる症状

立ち上がった瞬間に目の前が暗くなるような立ち眩みは、血圧の異常によって脳への血流が一時的に不足することで起こります。
これは起立性低血圧と呼ばれ、自律神経による血圧調整がうまくいかない状態です。
また、脈が乱れる不整脈や、心臓のポンプ機能が低下する心不全といった心臓の病気があると、全身に十分な血液を送り出せず、めまいや息切れの原因になることがあります。

もともと血圧が低い低血圧の人も、些細なことで血圧低下を起こしやすく、同様の症状を感じることがあります。
これらの症状は心臓からの重要なサインである可能性があり、循環器内科での詳しい検査が必要です。

すぐに病院へ行くべき危険なめまいのサイン

めまいの多くは耳のトラブルなど、命に直接関わらないものが原因ですが、中には脳梗塞や脳出血といった緊急性の高い病気が隠れていることがあります。
これらは一刻も早い治療がその後の経過を大きく左右します。

特に、今まで経験したことのないような激しいめまいで立っていられない、症状が繰り返し続く、意識が遠のくといった場合は危険なサインです。
これから挙げるような症状が一つでも見られたら、迷わず救急車を呼ぶか、速やかに医療機関を受診してください。

激しい頭痛や手足のしびれを伴う場合

めまいと同時に、バットで殴られたような激しい頭痛が起きた場合、くも膜下出血の可能性が考えられます。
これは命に関わる非常に危険な状態です。
また、めまいと共に片方の手足のしびれや脱力感、感覚が鈍くなるなどの症状を伴うケースは、脳梗塞や脳出血が強く疑われます。

脳の血管が詰まったり破れたりすることで、その部分が司る機能に障害が出ているサインです。
たとえ軽いしびれであっても、めまいと同時に発生していることが重要なポイント。
これらの症状は一刻を争うため、ためらわずに救急要請を検討するべきです。

ろれつが回らない・物が二重に見える

めまいと同時に言葉がもつれてうまく話せない、ろれつが回らないといった症状が現れた場合、脳の言語中枢に異常が生じている可能性があります。
また物が二重に見えたり、片側の視野が欠けたりする視覚異常も脳の異常を示す重要なサインです。

これらの症状は脳梗塞や脳出血によって体のバランスや神経伝達に関わる脳幹や小脳がダメージを受けていることを示唆しています。
めまいの程度は軽くてもこのような強い神経症状が伴う場合は自己判断で様子を見るべきではありません。
速やかに専門医の診察を受けることが重要です。

意識が遠のく・気を失ってしまう

急なめまいに襲われ、意識が朦朧としたり、実際に気を失ってしまったりする症状は、極めて危険な状態を示しています。
脳への血流が著しく低下している可能性が高く、その原因として重篤な脳血管障害や致死性の不整脈など、生命に直結する病気が考えられます。

たとえ短時間で意識が回復したとしても、決して軽視してはいけません。
特に、前触れなく急に意識を失った場合は、周囲の人に助けを求め、直ちに救急車を呼ぶ必要があります。
このような急な意識障害は、迅速な医療対応が不可欠です。

つらいめまいと吐き気を感じた時の応急処置

突然のめまいと吐き気に襲われた際、まずは慌てずに対処することが大切です。
脳の病気が疑われるような危険なサインがなければ、自宅での応急処置で症状を和らげることが期待できます。
症状を一時的に抑えるために、トラベルミンなどの酔い止め薬や吐き気止めといった市販薬を使用する方法もありますが、まずは薬に頼る前に、体を休ませる基本的な対処法を試みることが重要です。

胃のむかつきが強い場合は無理に水分を取らず、楽な姿勢で安静を保つことが最優先の対処です。

まずは楽な姿勢で安静にする

めまいを感じたら、まず転倒による怪我を防ぐために、その場に座り込んだり、壁に寄りかかったり、あるいは安全な場所に移動して横になるなど、楽な姿勢をとることが最も重要です。
特に視界がぐるぐる回る回転性のめまいの場合、頭を動かすことで症状が悪化しやすいため、頭部をなるべく固定し、静かにしていることが求められます。

横になる際は、自分が楽だと感じる向きを探し、症状が少しでも和らぐまでゆっくりと休みます。
多くの場合、安静にすることで症状は一時的にでも落ち着きます。

光や音の刺激が少ない静かな場所で休む

めまいや吐き気が起きているときは、普段は気にならないような光や音に対しても感覚が過敏になり、症状を悪化させる原因となることがあります。
テレビの光や家族の話し声、外の騒音などが不快に感じられる場合は、できるだけ刺激の少ない環境で休むことが望ましいです。

部屋の照明を落とし、静かな場所で目を閉じて安静にすると、脳への刺激が減り、心身ともにリラックスしやすくなります。
職場や外出先で症状が出た場合でも、可能であれば休憩室などの静かな場所に移動して休むようにしましょう。

体を締め付ける衣類を緩めて血行を良くする

ネクタイやシャツのボタン、ベルト、ウエストが窮屈な衣類などは、血行を妨げ、めまいや吐き気を助長することがあります。
症状を感じたら、まずは体を締め付けているものを緩め、リラックスできる状態を作りましょう。
血行を促進することで、脳への血液循環の改善も期待できます。

また、脱水症状もめまいの原因になるため、吐き気がなければ、常温の水や経口補水液などでゆっくりと水分補給を行うことが有効です。
体を楽な状態に保ち、適切な水分を摂ることを心がけてください。

何科を受診すればいい?症状で選ぶ診療科

めまいや吐き気で医療機関を受診しようと思ったとき、どの診療科を選べばよいか迷うことは少なくありません。
原因が多岐にわたるため、症状に応じて適切な専門科を選ぶことが、的確な診断と治療への第一歩となります。

まずはかかりつけの内科に相談し、適切な科を紹介してもらうのも一つの方法です。
症状によっては、原因を特定するために血液検査や画像検査などが行われ、点滴治療や入院が必要になることもあります。

ぐるぐる回るめまいなら耳鼻咽喉科へ

自分の周りがぐるぐる回っているように感じる「回転性めまい」が主な症状の場合、耳の内部にある平衡感覚を司る器官の異常が原因であることが大半です。
代表的な疾患には、良性発作性頭位めまい症やメニエール病、前庭神経炎などがあります。
これらの病気の診断と治療は耳鼻咽喉科が専門です。

特に、めまいと同時に耳鳴り、難聴、耳が詰まったような感じといった耳の症状を伴う場合は、まず耳鼻咽喉科を受診することを強く推奨します。
専門的な聴力検査や平衡機能検査によって、原因を詳しく調べることが可能です。

ふらつくめまいや頭痛があれば脳神経外科・内科へ

体が雲の上を歩いているようにふわふわと揺れる感じの「浮動性めまい」や、まっすぐ歩けない、姿勢を保てないといった症状がある場合は、脳に原因がある可能性を考慮します。
特に、これまでに経験したことのない激しい頭痛や、手足のしびれ、ろれつが回らない、物が二重に見えるといった神経症状を伴う場合は、脳梗塞や脳出血といった命に関わる病気のサインかもしれません。

このような場合は、一刻も早く脳神経外科(脳外科)や脳神経内科を受診してください。
CTやMRIなどの画像検査で脳の状態を詳細に調べ、緊急の治療が必要かどうかを判断します。

立ちくらみや動悸は循環器内科も視野に

立ち上がった瞬間にクラっとする、目の前が暗くなる、といった「立ちくらみ」が主な症状の場合は、血圧の変動や心臓の問題が原因かもしれません。
起立性低血圧や不整脈、心不全などが背景にある可能性が考えられます。
これらの診断や治療は循環器内科が専門です。

特に、めまいと同時に動悸、息切れ、胸の痛みや圧迫感などを感じる場合は、心臓疾患の可能性が高まります。
循環器内科では、心電図や心エコー検査などで心臓や血管の状態を評価し、原因に応じた治療方針を決定します。

めまいと吐き気を予防する日常生活のポイント

めまいや吐き気は、日々の生活習慣が大きく影響している場合があります。
特に自律神経の乱れからくる症状は、生活リズムを整えることで予防や改善が期待できます。

規則正しい生活は、胃や腸の働きも正常に保ち、胃のむかつきといった不快な症状を防ぐことにもつながります。
日中の眠気を解消し、心身ともに健康な状態を保つためにも、日常生活における予防のポイントを意識することが望ましいです。

十分な睡眠時間を確保して生活リズムを整える

睡眠不足は自律神経のバランスを乱す代表的な原因であり、めまいや吐き気を引き起こすことがあります。
毎晩できるだけ同じ時間に床につき、十分な睡眠時間を確保することが、体内のリズムを整える基本です。
特に夜更かしは避け、質の高い睡眠をとることを心がけましょう。

朝は決まった時間に起きて太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、夜の自然な入眠につながります。
規則正しい睡眠のサイクルは、心身の疲労を回復させ、めまいが起こりにくいコンディションを作る上で非常に重要です。

ストレスを上手に発散する方法を見つける

過度な精神的ストレスは自律神経の働きを乱し、めまいの引き金となることが知られています。
そのため、自分に合った方法でストレスを上手に解消し、溜め込まないようにすることが予防の鍵です。
軽いウォーキングやストレッチなどの適度な運動は、血行を促進し気分転換にもなります。

また、ぬるめのお湯での入浴は副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる効果が期待できます。
就寝前の長時間のスマホや携帯の利用は、脳を覚醒させてしまうため控えるのが賢明です。
趣味に打ち込むなど、仕事や悩み事から離れる時間を持つことも大切です。

バランスの取れた食生活を意識する

栄養バランスが偏った食事や、食事を抜くといった不規則な食生活は、体調不良を招き、めまいの原因となりえます。
1日3食、栄養バランスを考えた食事を規則正しく摂ることが健康の基本です。
特に塩分の過剰摂取は、体内の水分バランスを崩し、めまいを引き起こすメニエール病の誘因や悪化につながるため、減塩を心がけましょう。
また、カフェインやアルコールは自律神経を刺激するため、過剰な摂取は避けた方が無難です。

食べ過ぎや食欲不振は胃腸に負担をかけます。
発汗や咳などで水分が失われた際は、脱水を防ぐためこまめな水分補給も重要です。

まとめ

めまいと吐き気は、良性のものから生命に関わる危険な病気のサインまで、その原因は多岐にわたります。
頭の位置を変えたときに数分で治まるような良性のめまいもあれば、症状が数時間から数日と長時間にわたって続く場合もあります。

特に仕事中や車の運転中に症状が現れると、重大な事故につながる危険性も否定できません。
たとえ軽いめまいであっても、30分以上続く、頻繁に繰り返す、あるいは頭痛やしびれといった他の症状を伴う場合は、自己判断で放置せず、速やかに医療機関を受診することが重要です。

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