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こめかみが痛い頭痛の原因|スマホ頭痛や両方が痛む場合の治し方

こめかみが痛い頭痛の原因|スマホ頭痛や両方が痛む場合の治し方

こめかみが痛いという症状は、多くの人が経験する頭痛の一種です。
その原因は様々で、近年問題視されているスマホ頭痛もその一つに含まれます。
こめかみと後頭部が痛いなど、痛みの種類は多岐にわたり、それぞれに適した対処法が存在します。

この記事では、こめかみの痛みを引き起こす頭痛のタイプや原因、自分でできる対処法について解説します。
痛みの背景にあるものを理解し、適切な対応をとるための情報として役立ててください。

こんな症状は要注意!すぐに病院へ行くべき危険なサイン

こめかみの痛みの多くは心配ないものですが、中には危険な病気が隠れている場合があります。
これまで経験したことのない鋭い痛みや、バットで殴られたような突発的で激しい頭痛を感じた際は、直ちに医療機関を受診してください。

また、めまい、手足の麻痺、ろれつが回らない、痙攣といった症状を伴う場合も、脳の異常が疑われる危険なサインです。
普段の頭痛とは違う違和感を見逃さず、速やかに専門医の診察を受けることが重要です。

こめかみが痛むのはなぜ?考えられる主な原因

こめかみが痛む原因は多岐にわたります。
精神的なストレスや寝不足といった生活習慣の乱れは、自律神経のバランスを崩し頭痛を誘発します。
また、天候の変化、特に気圧が低下するタイミングで痛みを感じる人も少なくありません。
夏場には、脱水による熱中症の初期症状として頭痛が現れることもあります。

その他、高血圧など血圧の変動が痛みの引き金になるケースも考えられるため、痛みの背景にある生活習慣や環境要因を把握することが大切です。

ズキンズキンと脈打つように痛む「片頭痛」

片頭痛は、こめかみや頭の片側、時には両側がズキンズキンと脈打つように痛むのが特徴です。
この拍動性の痛みは、頭部の血管が拡張し、その周囲の三叉神経が刺激されることで生じると考えられています。
体を動かすと痛みが悪化するため、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
吐き気や嘔吐を伴ったり、光や音に過敏になったりする症状もみられます。

片頭痛の誘因は様々で、ストレスや寝不足のほか、チーズやチョコレート、赤ワインといった特定の食べ物が引き金となるケースも報告されています。
痛みの前兆として、視界にギザギザした光が見える閃輝暗点(せんきあんてん)が現れる人もいます。

頭が締め付けられるように重く痛む「緊張型頭痛」

緊張型頭痛は、頭全体が締め付けられるような圧迫感や、後頭部から首筋にかけて重い感じがする特徴を持つ、最も一般的な頭痛です。
この痛みは、長時間同じ姿勢を続けることによる身体的なストレスや、精神的なストレスが主な原因とされます。

特にデスクワークやスマートフォンの使用で、頭から肩にかけての筋が過度に緊張し、血行が悪くなることで痛みを引き起こします。
痛みは数十分から数日間続くことがありますが、片頭痛のように動けないほどの強さではないことが多いです。
筋肉の凝りをほぐすためのストレッチや、リラックスできる時間を持つことが症状の緩和に役立ちます。

目の奥がえぐられるような激痛が走る「群発頭痛」

群発頭痛は、片側の目の奥がえぐられるような、耐え難いほどの激痛を特徴とする頭痛です。
痛みは数十分から数時間続き、これが数週間から数ヶ月にわたって毎日のように繰り返される「群発期」と呼ばれる期間があります。
あまりの痛みにじっとしていられず、部屋の中を歩き回ったり、頭を抱えたりする人も少なくありません。
痛みと同じ側に目の充血や涙、鼻水、鼻づまりといった自律神経症状を伴うことも特徴です。

20代から40代の男性に多く見られ、発症のメカニズムは完全には解明されていませんが、体内時計に関わる視床下部の異常が関係していると考えられています。
飲酒が発作の引き金になることが知られています。

長時間のスマホやPCが引き起こす「スマホ頭痛」とは

「スマホ頭痛」とは、正式な病気の名前ではなく、スマートフォンの長時間利用に起因する頭痛の総称です。
主に、目の疲れからくる頭痛や緊張型頭痛が含まれます。
画面から発せられるブルーライトによる目の酷使や、うつむき姿勢が首や肩の筋肉に与える負担が複合的に作用して発症します。
度が合わないメガネやコンタクトレンズの使用も、症状を悪化させる一因となり得ます。

現代の生活に密着したこの不調のメカニズムを理解し、適切な対策を講じることが求められます。

ブルーライトの浴びすぎによる目の酷使

スマートフォンやパソコンの画面から発せられるブルーライトは、目の疲れである眼精疲労の大きな原因となります。
ブルーライトは可視光線の中でも特にエネルギーが強く、網膜まで直接届くため、目に負担をかけやすい性質があります。

画面を長時間凝視することでまばたきの回数が無意識に減少し、目が乾燥するドライアイを併発することも、眼精疲労を助長します。
目のピントを合わせる毛様体筋という筋肉が緊張し続けると、その疲労がこめかみ周辺の痛みとして現れることがあります。
1時間に一度は画面から目を離し、遠くを見るなどして目を休ませることが、症状の予防に効果的です。

うつむき姿勢が首や肩に与える負担

スマートフォンを操作する際のうつむき姿勢は、首や肩の筋肉に想像以上の負担をかけています。
成人の頭の重さは約5kgありますが、首を傾ける角度が大きくなるほど、頸椎にかかる負荷は増大します。
首を15度傾けるだけで約12kg、60度では約27kgもの負荷がかかるとされています。

この状態が長時間続くと、首から肩、背中にかけての筋肉が常に緊張し、血行不良を引き起こします。
この筋肉の過緊張が、頭を締め付けるような緊張型頭痛の直接的な原因となり、こめかみや後頭部に重苦しい痛みを発生させます。
意識的に背筋を伸ばし、定期的にストレッチを行うことが予防につながります。

頭痛以外にもある!こめかみの痛みを引き起こす病気

こめかみの痛みは、一般的な頭痛だけでなく、他の様々な病気が原因で生じることもあります。
顔の神経の異常や、顎関節の問題、さらには血管の炎症などが痛みの元になる場合も少なくありません。

これらの病気は、頭痛とは異なる特徴的な症状を伴うことが多く、原因に応じた専門的な治療が必要です。
痛みの性質や付随する症状に注意を払い、適切な診療科を受診することが、早期発見と改善につながります。

顔の片側に電気が走るような痛みが生じる「三叉神経痛」

三叉神経痛は、顔の感覚を脳に伝える三叉神経が、主に血管によって圧迫されることで発症する神経痛です。
特徴は、顔の片側に突発的で、電気が走るような鋭い痛みが数秒から数分続くことです。
この痛みは、洗顔、歯磨き、食事、会話といった日常の何気ない動作で誘発されることがあります。

痛む場所によっては虫歯と間違われるケースも少なくありません。
また、過去に帯状疱疹にかかったことがある場合、神経に潜伏していたウイルスが再活性化し、帯状疱疹後神経痛として痛みを引き起こすこともあります。
こめかみを含む顔面に、繰り返し激しい痛みが起こる場合は、この病気を疑う必要があります。

噛み合わせの不調や歯ぎしりが原因の「顎関節症」

顎関節症は、顎の関節やその周りの筋肉に異常が生じる病気です。
口を開け閉めする際に顎が痛む、カクカクと音がする、口が大きく開かないといった症状が代表的です。
こめかみにある側頭筋は、ものを噛む際に使われる主要な咀嚼筋の一つであり、顎関節症によってこの筋肉が過度に緊張したり疲労したりすると、こめかみに痛みが生じます。

特に、就寝中の歯ぎしりや日中の食いしばりの癖は、側頭筋に持続的な負担をかけ、痛みの原因となります。
顎の不調は、頭蓋骨の一部である蝶形骨など周囲の骨にも影響を与え、頭痛や肩こりを引き起こすこともあります。

こめかみの血管に炎症が起きる「側頭動脈炎」

側頭動脈炎は、主にこめかみ付近を走行する側頭動脈という血管に炎症が起きる病気で、「巨細胞性動脈炎」とも呼ばれます。
50歳以上の高齢者に多く、片側または両方の側頭部に持続的なズキズキとした痛みが現れるのが特徴です。
炎症を起こした血管は硬く腫れ、触れると痛みを感じたり、熱感を伴ったりします。
髪をとかす際に頭皮の生え際が痛む、物を噛むと顎が疲れて痛む(顎跛行)といった症状もみられます。

まれに視力障害を引き起こすことがあるため、早期に診断し、ステロイドによる治療を開始することが非常に重要です。

鼻づまりや顔の圧迫感を伴う「副鼻腔炎」

副鼻腔炎は、鼻の周囲にある副鼻腔という骨の隙間に炎症が起こり、膿が溜まる病気で、一般的に蓄膿症とも呼ばれます。
主な症状は、色のついた粘り気のある鼻水や鼻づまりですが、炎症が強くなると、こめかみ、頬、眉間、目の奥などに痛みや圧迫感が生じます。
これは、溜まった膿によって副鼻腔の内圧が高まり、周囲の神経が圧迫されるために起こります。

特に、頭の中心に近い蝶形骨洞という副鼻腔で炎症が起きると、頭痛として感じられることが多いです。
頭を下げたり、かがんだりすると痛みが強くなるのが特徴で、中耳炎を併発することもあります。

見逃し厳禁!命に関わる可能性のある脳の病気

こめかみの痛みが、生命に直接関わる危険な脳の病気のサインである可能性もゼロではありません。
これらの病気は、突然発症して急速に症状が進行することが多く、一刻も早い対応が生死を分けます。

今まで経験したことのないような激しい頭痛や、意識障害、手足の麻痺などを伴う場合は、ためらわずに救急車を呼ぶべきです。
ここでは、特に注意が必要な脳の疾患について解説します。

突然の激しい頭痛が特徴の「くも膜下出血」

くも膜下出血は、脳を覆う「くも膜」と「軟膜」の間の空間に出血が起こる、極めて危険な脳卒中の一つです。
多くは脳動脈にできたこぶ(脳動脈瘤)の破裂が原因で、血液が脳の表面に一気に広がります。
最大の特徴は、「後頭部をハンマーで殴られたような」と形容される、突然の激しい頭痛です。
意識を失ったり、激しい吐き気や嘔吐を伴ったりすることも少なくありません。

出血した血が脳を圧迫することで深刻な後遺症を残したり、命を落としたりする危険性が非常に高い病気です。
これまでに経験したことのない、突発的で強烈な頭痛を感じた場合は、ただちに救急要請が必要です。

手足のしびれや麻痺を伴うこともある「脳出血」

脳出血は、脳の中を通る細い血管が破れて出血する病気です。
高血圧が長年続くことでもろくなった血管が、血圧の急な上昇に耐えきれずに破れることが主な原因です。
出血した血液が塊(血腫)となって周囲の脳組織を圧迫し、様々な症状を引き起こします。

頭痛のほかに、出血した場所に応じて、体の片側の手足のしびれや麻痺、ろれつが回らない、めまいといった症状が現れます。
脳の血管が詰まる脳梗塞と比較して、症状が比較的急激に進行する傾向があります。
これらの症状がみられた場合は、速やかに専門医の診察を受けることが不可欠です。

徐々に痛みが強くなっていく「脳腫瘍」

脳腫瘍は頭蓋骨の内部に発生する腫瘍の総称で、良性と悪性があります。
腫瘍が徐々に大きくなるにつれて、限られた空間である頭蓋骨の中の圧力(頭蓋内圧)が高まり、頭痛を引き起こします。

脳腫瘍による頭痛は、数週間から数ヶ月という時間をかけて徐々に痛みが強くなっていくのが特徴で、特に起床時に痛みが強い傾向があります。
咳やくしゃみ、いきみなどで頭痛が悪化することもあります。
頭痛以外にも、腫瘍ができた場所に応じて、手足の麻痺やけいれん、視力障害、吐き気など、様々な神経症状が現れる可能性があります。

こめかみの痛みを和らげたいときの対処法

こめかみに痛みを感じたとき、すぐに行えるセルフケアで症状を和らげられる場合があります。
ただし、対処法は頭痛の種類によって異なるため、自分の痛みの特徴を把握することが大切です。
血行を促進するストレッチやマッサージが有効な場合もあれば、安静にして患部を冷やすべき場合もあります。

ここでは、痛みを抑えるための具体的な方法や、筋肉をほぐすツボを紹介し、症状の緩和を目指します。

痛みの種類別!冷やすべきか温めるべきかの判断基準

頭痛の対処法として、冷やすか温めるかは痛みの種類によって正反対の対応が求められます。
ズキンズキンと脈打つような片頭痛の場合、血管が拡張して痛みが生じているため、患部を冷やすのが効果的です。
冷却シートや氷枕などでこめかみ周辺を冷やすと、血管が収縮して痛みの緩和が期待できます。

一方、頭が締め付けられるような緊張型頭痛は、筋肉の凝りや血行不良が原因なので、首や肩を蒸しタオルなどで温めることが有効です。
体を温めることで筋肉の緊張がほぐれ、血流が改善されて痛みが和らぎます。
入浴もリラックス効果と血行促進の両面から推奨されます。

自分で押せる!こめかみの痛みに効くツボ

こめかみの痛みには、ツボ押しも手軽で有効なセルフケアの一つです。
頭痛に効く代表的なツボとして「太陽(たいよう)」があります。
このツボの位置は、眉尻と目尻を結んだ線の真ん中から、指2本分ほど外側にあるくぼみです。
この部分を、気持ちいいと感じる程度の強さで、両手の親指や人差し指の腹を使ってゆっくりと5秒ほど圧迫し、ゆっくり離す動作を数回繰り返します。

また、手の甲にある「合谷(ごうこく)」も頭痛全般に効果があるとされる万能のツボです。
親指と人差し指の骨が交わる手前のくぼみに位置し、痛む側と反対の手で刺激すると良いとされています。

十分な休息と質の良い睡眠を確保する

こめかみの痛みをはじめとする多くの頭痛は、心身の疲労やストレスと密接に関係しています。
そのため、十分な休息を取り、質の良い睡眠を確保することは、痛みの予防と緩和における基本となります。
毎日なるべく同じ時間に就寝・起床する習慣をつけ、生活リズムを整えることが重要です。
寝不足が頭痛の引き金になるのはもちろん、休日に普段より長く寝る「寝だめ」も、かえって頭痛を誘発することがあるため注意が必要です。

就寝前はスマートフォンやパソコンの画面を見るのを控え、脳をリラックスさせる時間を設けましょう。
部屋を暗くして静かな環境を整えるなど、睡眠の質を高める工夫が、頭痛の頻度を減らすことにつながります。

病院を受診するときのポイント

こめかみの痛みが長引く、市販の鎮痛薬を飲んでも改善しない、または痛みがだんだん強くなるような場合は、医療機関の受診を検討すべきです。
しかし、どの診療科にかかればよいのか、医師に何をどのように伝えればよいのか迷うこともあるかもしれません。
正確な診断と適切な治療を受けるためには、受診前に症状に関する情報を整理しておくことが重要になります。

ここでは、診療科の選び方や、診察時に伝えるべきポイントを解説します。

こめかみの痛みは何科で診てもらう?

こめかみの痛みで病院を受診する場合、まずどこに行けばよいか迷うかもしれません。
原因がはっきりしない頭痛の場合、最初に受診すべき診療科は脳神経内科や脳神経外科です。
これらの診療科では、CTやMRIといった画像検査を用いて、くも膜下出血や脳腫瘍など、危険な脳の病気が隠れていないかを詳しく調べることが可能です。

「頭痛外来」を標榜するクリニックも、頭痛診療の専門家がいるため適切な選択肢です。
頭痛以外に、鼻づまりや顔の圧迫感を伴う場合は耳鼻咽喉科、顎の痛みや口の開きにくさがあるなら歯科や口腔外科が適しています。
どこが原因か判断に迷う場合は、まずかかりつけの内科医に相談するのもよいでしょう。

医師に的確に伝えるべき症状のポイント

診察を受ける際には、医師に症状を的確に伝えることが、正確な診断への近道です。
事前に以下のポイントをメモしておくと、診察がスムーズに進みます。
まず、「いつから痛むか」「どのような痛みか(ズキンズキン、締め付けられるなど)」「痛みの強さ(10段階評価など)」「痛む頻度と持続時間」を具体的に整理しておきましょう。

また、「痛みが起こるきっかけ(特定の動作、時間帯、天候など)」や、「頭痛以外の症状(吐き気、めまい、光や音への過敏、しびれなど)」も非常に重要な情報です。
現在服用している薬やサプリメント、過去にかかった病気、市販の鎮痛薬が効いたかどうかも伝えると、診断の助けになります。

まとめ

こめかみの痛みは、片頭痛や緊張型頭痛といった一次性頭痛から、脳の病気や顔の他の部位の炎症が原因で起こる二次性頭痛まで、様々な原因によって引き起こされます。
痛みの性質や伴う症状を注意深く観察し、適切な対処法を選ぶことが肝心です。

セルフケアで改善しない場合や、今までにない激しい痛みなどの危険なサインが見られる場合は、ためらわずに専門の医療機関を受診してください。
自身の症状を正しく理解し、適切な対応をとることが、つらい痛みからの解放につながります。

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