お酒で頭痛が起きる原因とは?すぐできる予防と対策を解説
楽しいはずのお酒で頭痛が起きるとつらいものです。
なぜお酒を飲むと頭が痛くなるのか、その原因にはアルコールの分解過程で生まれる物質や脱水症状が関係しています。
この記事では、頭痛が起こる仕組みから、飲む前・飲んでいる最中にできる予防策、そして頭痛になってしまった時の正しい対策までを詳しく解説します。
しっかりとした知識を身につけ、つらい頭痛を防ぐ方法を実践しましょう。
お酒で頭痛が引き起こされる2つの主な原因
お酒を飲んだ後に頭痛が起こるのには、明確な理由があります。
その主なメカニズムは、体内でアルコールが分解される過程で発生する有害物質と、アルコールの作用による脱水症状の2つです。
これらの仕組みが脳の血管に影響を与え、痛みにつながります。
それぞれの原因がどのように体に作用し、頭痛を引き起こすのか、その詳しい理由を見ていきましょう。
原因①:有害物質「アセトアルデヒド」の作用
アルコールが体内に入ると、まず肝臓で分解され「アセトアルデヒド」という物質に変化します。
このアセトアルデヒドは毒性が非常に強く、二日酔いの原因となる有害物質です。
肝臓の分解能力を超えて多量のお酒を飲むと、アセトアルデヒドが体内に長時間留まり、血管を拡張させてズキズキとした頭痛を引き起こします。
これが、ひどい頭痛や吐き気、悪酔いの直接的な原因となります。
アセトアルデヒドは、さらに分解されて無害な酢酸になりますが、この分解能力には個人差があるため、同じ量を飲んでも酔いの程度や頭痛の症状は人によって異なります。
原因②:アルコールの利尿作用による脱水症状
アルコールには強い利尿作用があり、飲んだ量以上の水分を尿として体外に排出させてしまいます。
例えば、ビールを1リットル飲むと約1.1リットルの水分が失われるといわれています。
また、アルコールの分解過程や、体温の上昇による発汗でも水分は失われます。
このように体内の水分が不足すると脱水症状に陥り、脳の髄膜が刺激されたり、脳の血管が収縮したりすることで頭痛が引き起こされます。
飲酒中や就寝中に汗をかきやすいのも、体内の水分が不足する一因です。
飲んでいるお酒自体が水分であっても、それ以上に体から水分が抜けてしまうことを認識しておく必要があります。
飲んですぐ顔が赤くなる人は頭痛になりやすい?体質との関係性
お酒を少し飲んだだけ、例えば1杯程度ですぐに顔が赤くなる人は、頭痛になりやすい体質といえます。
これは、アルコールが分解されてできる有害物質「アセトアルデヒド」を分解する酵素の働きが遺伝的に弱いことが原因です。
この体質の人は、アセトアルデヒドが体内に蓄積しやすいため、少量のお酒でも頭痛や吐き気などの症状が出やすくなります。
また、年齢を重ねると肝機能が低下し、アルコールの分解能力が落ちるため、若い頃より頭痛が起きやすくなることもあります。
お酒による頭痛を未然に防ぐ!飲む前にできる3つの予防策
お酒による頭痛は、飲む前の少しの工夫で予防できる可能性があります。
特に空腹時の飲酒や体内の水分不足は、アルコールの吸収を早め、頭痛のリスクを高めます。
また、体調が万全でない時、例えば寝不足の状態で飲むと、肝臓の働きが低下し、アルコールの分解が追いつかなくなることもあります。
ここでは、お酒を飲む前に実践できる3つの簡単な予防策を紹介します。
予防策①:空腹状態を避け、胃に食べ物を入れておく
空腹の状態で飲酒すると、アルコールが胃を素通りして小腸で急速に吸収され、血中アルコール濃度が急激に上昇します。
これにより、肝臓での分解が追いつかなくなり、頭痛の原因となるアセトアルデヒドが体内に溜まりやすくなります。
飲酒前には、食事を摂って胃に食べ物を入れておくことが重要です。
特に、脂肪分を含む食べ物(チーズやナッツなど)や、胃の粘膜を保護する働きのある乳製品(牛乳やヨーグルトなど)を摂っておくと、アルコールの吸収を穏やかにする効果が期待できます。
空腹での一杯目は避け、必ず何か食べてからお酒を楽しみましょう。
予防策②:飲酒前に水分を十分に補給する
飲酒による脱水症状を防ぐためには、飲む前から体内の水分量を満たしておくことが効果的です。
アルコールには利尿作用があるため、飲酒中だけでなく、飲む前にもあらかじめ水分を補給しておくことで、脱水による頭痛のリスクを軽減できます。
お酒を飲む前に、コップ1杯程度の水やスポーツドリンクを飲んでおくことを習慣にしましょう。
これにより、血中アルコール濃度の上昇を緩やかにする効果も期待できます。
特に、汗をかきやすい夏場や、暖房の効いた室内で飲む場合は、意識的に多めの水分を摂ることが大切です。
予防策③:アルコールの分解を助ける栄養素を摂っておく
肝臓がアルコールを分解する際には、ビタミンやアミノ酸、糖分などの栄養素が必要です。
これらの栄養素を飲む前に補給しておくことで、肝臓の働きをサポートし、アセトアルデヒドの分解を促進する効果が期待できます。
特に、ビタミンB1やウコンに含まれるクルクミン、しじみなどに含まれるオルニチンなどが有効とされています。
これらの栄養素は、食事から摂取するほか、手軽に利用できるサプリや栄養ドリンクを活用するのも一つの方法です。
また、アルコールの分解にはエネルギーとして糖分も消費されるため、事前に軽く糖分を補給しておくことも頭痛予防につながります。
飲み会・宅飲み中に実践したい頭痛を予防する4つのコツ
飲み会や宅飲みを楽しんでいる最中も、少し意識を変えるだけで頭痛のリスクを減らすことができます。
どのくらいのペースで飲むか、どのような種類のお酒を選ぶか、何を一緒に食べるかなどが重要です。
例えば、ビールやチューハイの缶を次々と空けるのではなく、合間に水を挟むといった簡単な工夫が効果的です。
ここでは、飲酒中に実践できる4つのコツを紹介します。
コツ①:お酒と同量以上の水を飲む(チェイサーを挟む)
血中アルコール濃度の上昇を緩やかにし、脱水症状を防ぐために最も効果的な方法が、お酒と水を交互に飲むことです。
お酒を1杯飲んだら、同量以上の水(チェイサー)を飲むように心がけましょう。
水を飲むことで、アルコールの吸収が穏やかになるだけでなく、利尿作用によって失われる水分を補給できます。
また、体内のアルコール濃度が薄まるため、肝臓での分解がスムーズに進み、アセトアルデヒドが早く抜ける助けにもなります。
アルコールが体から抜ける時には多くの水分が必要となるため、飲んでいる最中からこまめに水分補給をすることが二日酔い予防の鍵となります。
コツ②:肝臓の働きを助けるおつまみを選ぶ
おつまみの選び方も頭痛予防には重要です。
肝臓の働きを助ける栄養素を積極的に摂りましょう。
例えば、タンパク質が豊富な枝豆や豆腐、ビタミンB群を多く含む豚肉などはアルコールの分解を助けます。
また、タウリンを含むタコやイカ、オルニチンが豊富なシジミの味噌汁などもおすすめです。
一方で、塩分の多いおつまみは喉が渇き、さらにお酒が進んでしまう原因になるため注意が必要です。
塩辛いものばかりではなく、バランスの良い食事を心がけることが大切です。
締めに味噌汁を飲むのも、失われた水分と塩分を補給できるため効果的です。
コツ③:血中濃度を急上昇させないようゆっくり飲む
一気飲みやハイペースでの飲酒は血中アルコール濃度を急激に上昇させ肝臓の分解能力を大幅に超えてしまいます。
これにより毒性の強いアセトアルデヒドが体内に長時間滞留しひどい頭痛や二日酔いを引き起こします。
お酒は会話を楽しみながらゆっくりとしたペースで飲むことを意識しましょう。
時間をかけて飲むことで肝臓が着実にアルコールを分解する時間を確保できアセトアルデヒドがスムーズに抜けるのを助けます。
アルコールが体から完全に抜ける時には相当な時間がかかるため飲むペースをコントロールすることが非常に重要です。
コツ④:アルコール度数の高いお酒の飲み過ぎに注意する
ウイスキーやウォッカ、焼酎などのアルコール度数が高いお酒は、少量でも多くの純アルコールを摂取することになります。
同じ量を飲んだ場合でも、ビールなどの低アルコール飲料に比べて血中アルコール濃度が上がりやすく、肝臓への負担も大きくなります。
特に、ストレートやロックで飲む際は、知らず知らずのうちに飲み過ぎてしまう傾向があるため注意が必要です。
もし度数の高いお酒を飲む場合は、水や炭酸水で割って飲む、量を決めてそれ以上は飲まないようにするなど、飲み方を工夫することが大切です。
飲み過ぎは頭痛の直接的な原因となるため、自分の適量を守りましょう。
もしもお酒で頭痛になった時の正しい対処法
予防策を講じても、つい飲み過ぎて翌朝に頭痛が起きてしまうこともあります。
そんな時は、慌てず正しい対処を行うことが重要です。
翌日のつらい頭痛に効く方法は、水分補給や体の冷却、安静にすることなどが基本となります。
ここでは、もしもお酒で頭痛になってしまった場合に、症状を和らげるための具体的な対処法を紹介します。
水分をしっかり補給してアルコールの排出を促す
頭痛の大きな原因である脱水症状を改善するため、まずは水分を十分に補給することが最優先です。
体内に残っているアセトアルデヒドを尿として早く排出させるためにも、水分は不可欠です。
このとき、水やお茶だけでなく、失われた電解質も効率よく補給できるスポーツドリンクや経口補水液が特に効果的です。
カフェインを含むコーヒーや緑茶は利尿作用があり、かえって脱水を助長する可能性があるので避けた方がよいでしょう。
一度に大量に飲むのではなく、コップ1杯程度の量をこまめに、ゆっくりと摂取することを心がけてください。
ズキズキと脈打つように痛む場合は頭部を冷やす
アセトアルデヒドの影響で脳の血管が拡張し、ズキズキと脈打つような痛みがある場合は、頭部を冷やすことが有効です。
冷たいタオルや氷のうなどを、こめかみやおでこ、首の後ろなどに当ててみましょう。
血管を収縮させることで、神経への圧迫が和らぎ、痛みの軽減が期待できます。
ただし、冷やしすぎると血行不良の原因にもなるため、心地よいと感じる程度に留めてください。
部屋を暗くして冷たいタオルを目元に置くと、光の刺激も遮断できてよりリラックスできます。
ズキズキとした拍動性の痛みを感じた場合に試してみてください。
静かで暗い場所で安静にして過ごす
頭痛がする時は、体がアルコールやアセトアルデヒドを分解するためにエネルギーを使っている状態です。
無理に活動すると、回復が遅れるだけでなく、症状を悪化させる可能性があります。
体調不良を感じたら、まずは体を休めることを優先しましょう。
テレビやスマートフォンの光、大きな音などの外部からの刺激は、頭痛を増幅させることがあります。
できるだけ静かで暗い部屋で横になり、安静に過ごすことが大切です。
睡眠不足も頭痛の一因となるため、可能であれば少しでも睡眠をとることで、体の回復を助けます。
市販の頭痛薬を服用する際の注意点
どうしても痛みが我慢できない場合は、市販の頭痛薬を服用するのも一つの方法です。
ただし、薬を選ぶ際には注意が必要です。
アセトアミノフェン系の痛み止めは、アルコールと一緒に摂取すると肝臓に負担をかける可能性があるため、飲酒直後やお酒が残っている状態での服用は避けるべきとされています。
一方で、ロキソプロフェンやイブプロフェンといった非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は比較的影響が少ないとされますが、胃腸への負担を考慮し、必ず空腹時を避けて水で服用してください。
例えば「ナロンエース」シリーズなど、自分の症状に合った薬を選び、用法・用量を守って正しく使用することが重要です。
頭痛を悪化させる可能性のあるNG行動
お酒による頭痛がある時に、よかれと思って取った行動が、かえって症状を悪化させてしまうことがあります。
特に血行を促進するような行為は、血管の拡張による頭痛をさらにひどくする可能性があるため注意が必要です。
ここでは、頭痛の回復を妨げ、悪化させるリスクのある代表的なNG行動を3つ紹介します。
痛みを紛らわすための迎え酒
頭痛や二日酔いのつらさを紛らわすために、さらにアルコールを摂取する「迎え酒」は絶対に避けるべき行動です。
迎え酒をすると、アルコールの麻痺作用によって一時的に痛みが和らいだように感じることがありますが、これは根本的な解決にはなりません。
実際には、肝臓にさらなる負担をかけ、アルコールの分解を遅らせるだけです。
結果的に、体内にアセトアルデヒドがより長く留まることになり、回復を遅らせるだけでなく、さらにひどい頭痛や体調不良を引き起こす原因となります。
アルコール依存症のリスクも高めるため、絶対に行わないでください。
血行を促進する入浴やサウナ
お酒による頭痛は、血管が拡張して神経を圧迫することで起きている場合が多いです。
この状態で入浴やサウナに入ると、体温が上昇してさらに血行が促進され、血管が拡張してしまいます。
その結果、ズキズキとした痛みが一層強くなる可能性があります。
また、飲酒後の入浴は脱水症状を悪化させるリスクもあります。
汗をかいて体内の水分がさらに失われる上、血圧の急激な変動を引き起こし、めまいや失神につながる危険性も否定できません。
どうしても汗を流したい場合は、熱い風呂は避け、ぬるめのシャワーで短時間で済ませるようにしましょう。
体に負担をかける激しい運動
汗をかいてアルコールを抜こうとして、ランニングなどの激しい運動をするのもNG行動です。
運動は血行を促進するため、入浴と同様に血管を拡張させ、頭痛を悪化させる原因になります。
また、運動後の発汗は脱水症状をさらに進行させてしまい、回復を遅らせます。
アルコールの分解で肝臓に負担がかかっている状態で体にさらなる負荷をかけることは、体全体の疲労感を増大させるだけです。
頭痛がする時は、激しい運動は避け、安静にして体の回復を待つことが最善の策です。
体を動かすなら、軽いストレッチ程度に留めておきましょう。
まとめ
お酒による頭痛は、主にアセトアルデヒドと脱水症状が原因で引き起こされます。
このつらい症状を防ぐためには、飲む前の準備が重要です。
空腹を避け、事前に水分やアルコールの分解を助ける栄養素を摂っておきましょう。
飲酒中も、水を一緒に飲む、ゆっくりとしたペースを保つ、肝臓を助けるおつまみを選ぶといった工夫が効果的です。
もし頭痛になってしまった場合は、十分な水分補給と安静を基本とし、必要に応じて頭を冷やすなどの対処を行いましょう。
頭痛薬を使用する際は注意点を守ってください。
迎え酒や入浴などのNG行動は避け、体を労わることが、つらい二日酔いからの早期回復につながります。
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