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柔道整復師のリスキリング|社会人が使える補助金とおすすめ資格

柔道整復師のリスキリング|社会人が使える補助金とおすすめ資格

柔道整復師としてキャリアを重ねる中で、将来の働き方や収入に課題を感じ、新たなスキルの習得を考える方も少なくありません。
リスキリング(学び直し)は、自身の専門性を高め、キャリアの選択肢を広げるための有効な手段です。

この記事では、柔道整復師におすすめの資格や、学び直しを支援する社会人向けの補助金・給付金制度について詳しく解説します。

なぜ今、柔道整復師にリスキリング(学び直し)が必要なのか

柔道整復師を取り巻く環境は変化しており、保険診療の厳格化や整骨院・接骨院の増加による競争の激化が進んでいます。
このような状況で安定したキャリアを築くためには、従来の保険診療に依存するだけでなく、新たな知識や技術を習得し、提供できるサービスの幅を広げることが重要になります。
例えば、自費診療メニューの拡充や、スポーツ、介護、美容といった他分野への進出が考えられます。

リスキリングによって自身の市場価値を高めることは、キャリアアップや収入向上に直結し、変化する社会のニーズに対応し続けるための不可欠な投資といえます。

柔道整復師のキャリアを広げるリスキリングにおすすめの資格

柔道整復師が現在の専門知識に加えて新たな資格を取得することは、対応できる業務範囲を広げ、キャリアの可能性を大きく飛躍させます。
自身の興味や将来の目標に合わせて、どのようなスキルを身につけたいかを明確にし、計画的に学習を進めることが大切です。

ここでは、柔道整復師のキャリアを多角的に広げるためにおすすめの資格を5つのカテゴリーに分けて紹介します。

ダブルライセンスで施術の選択肢を増やす「鍼灸師」

柔道整復師が鍼灸師の国家資格を取得すると、施術の幅が大きく広がります。
柔道整復術が骨折や脱臼といった急性期の外傷を主に対象とするのに対し、鍼や灸は慢性的な痛みや身体の不調、自律神経系の症状など、より幅広い疾患へのアプローチが可能です。

また、あん摩マッサージ指圧師の資格も同時に取得できる養成校が多く、マッサージを含めた多様な手技を提供できるようになります。
これにより、保険診療外の自費メニューを充実させることができ、多様な患者のニーズに応えることで、整骨院・鍼灸院としての競争力を高められます。

スポーツトレーナーとしてアスリートを支える「アスレティックトレーナー」

スポーツ分野での活躍を目指す場合、アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の資格が有効です。
この資格は、スポーツ選手の傷害予防、コンディショニング、リハビリテーション、救急対応など、アスリートを多角的にサポートする専門知識とスキルを証明します。

柔道整復師が持つ外傷への知識に加え、トレーニング理論やスポーツ科学の知見を深めることで、より専門的なサポートが可能となります。
理学療法に近いリハビリの視点も求められるため、医療機関やスポーツチームと連携し、選手のパフォーマンス向上に貢献する重要な役割を担うことができます。

介護分野で専門性を発揮する「ケアマネージャー(介護支援専門員)」

高齢化が進む現代社会において、介護分野は柔道整復師の知識を活かせる有望なキャリアの一つです。
ケアマネージャー(介護支援専門員)は、要介護者のケアプランを作成し、介護サービス事業者との調整役を担う専門職です。
柔道整復師として培った身体機能やリハビリテーションに関する知識は、利用者の状態を正確にアセスメントし、適切なケアプランを立案する上で大きな強みとなります。

国家資格取得後5年以上の実務経験などの受験資格を満たす必要はありますが、介護分野での専門性を高め、安定したキャリアを築くことが可能です。

パーソナルトレーニングの知識を深める関連資格

健康志向の高まりとともに、パーソナルトレーナーの需要は増加しています。
柔道整復師がパーソナルトレーニングの資格(NSCA-CPTなど)を取得することで、身体の構造や傷害に関する深い知識を活かした、安全かつ効果的なトレーニング指導が可能になります。

怪我からのリハビリテーションとトレーニングを組み合わせたプログラムを提供できるため、他のトレーナーとの差別化が図れます。
整骨院での自費メニューとしてトレーニング指導を導入したり、フィットネスクラブや専門ジムで活躍したりと、活躍の場を広げることができます。

独立開業や経営に役立つ「社会保険労務士」

将来的に整骨院の独立開業を目指すのであれば、経営に関する知識が不可欠です。
社会保険労務士は、労働・社会保険に関する手続きや労務管理の専門家であり、その知識は院の経営に直接役立ちます。

従業員を雇用する際の労働契約や就業規則の作成、各種保険手続きなどを自ら行うことができ、安定した院の運営基盤を築く上で大きなアドバンテージとなります。
施術者としてのスキルだけでなく、経営者としての視点と専門知識を身につけることで、成功する開業への道をより確実なものにできます。

柔道整復師のリスキリングで社会人が使える補助金・給付金制度

新たな資格取得やスキルの習得には学費などの費用がかかりますが、国が提供する補助金や給付金制度を活用することで、経済的な負担を大幅に軽減できます。
特に、社会人のキャリアアップを支援する「教育訓練給付制度」は、柔道整復師のリスキリングにおいて非常に有効な選択肢です。

ここでは、制度の概要や利用条件、申請方法について具体的に解説していきます。

学費の最大70%が支給される専門実践教育訓練給付金とは

専門実践教育訓練給付金は、労働者の中長期的なキャリア形成を支援するため、専門的・実践的な教育訓練にかかる費用の一部を国が補助する制度です。

この制度では、受講開始日によって給付率や上限額が異なります。
具体的には、令和6年9月30日以前に受講を開始した場合、対象講座の受講費用の50%(年間上限40万円)が支給されます。さらに、受講修了後に目標資格を取得し、修了日の翌日から1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合には、費用の20%が追加で支給され、合計で最大70%(訓練期間が3年の場合、最大168万円)の給付を受けることが可能です。

一方、令和6年10月1日以降に受講を開始する場合、受講費用の50%が支給されるのに加え、資格取得・就職、そして訓練修了後の賃金が受講開始前と比較して5%以上上昇した場合に、費用の追加支給があります。これにより、合計で最大80%(訓練期間が3年の場合、最大192万円)の給付を受けることができ、学費の負担を大きく減らすことが可能です。

専門実践教育訓練給付金の支給対象となる人の条件

専門実践教育訓練給付金を利用するためには、一定の条件を満たす必要があります。
具体的には、受講開始日において雇用保険の被保険者である、または被保険者でなくなった日から1年以内であり、かつ支給要件期間が3年以上あることが求められます。
ただし、初めてこの給付金制度を利用する場合に限り、支給要件期間は2年以上で対象となります。

過去に教育訓練給付金を受給したことがある場合は、前回の受給から3年以上経過している必要があります。
自分が対象となるか不明な場合は、住所地を管轄するハローワークで確認することが可能です。

給付金を受け取るための申請から受給までの手順

給付金を受け取るには、定められた手順に沿って手続きを進める必要があります。
まず、原則として受講を開始する1か月前までに、ハローワークでキャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードを作成します。

その後、「教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票」などの必要書類を提出し、受給資格の確認を受けます。
受講開始後は、6か月ごとにハローワークへ支給申請を行うことで、定期的に給付金が支給される仕組みです。
手続きには時間を要するため、計画的に準備を進めることが重要です。

教育訓練給付制度の指定講座を検索する方法

自身が受講したい講座が教育訓練給付制度の対象であるかを確認するには、厚生労働省が提供する「教育訓練講座検索システム」を利用するのが便利です。
このシステムでは、資格名や学校名、地域などの条件を指定して、対象となる講座を簡単に検索できます。
鍼灸師やアスレティックトレーナー、柔道整復師などの養成課程も多数指定されており、各講座の詳細な情報や給付率などを確認することが可能です。

リスキリングを検討する際は、まずこのシステムで対象講座を探し、自身のキャリアプランに合った学校やコースを選ぶことから始めるとよいでしょう。

これから柔道整復師を目指す社会人も補助金の対象になるケース

教育訓練給付制度は、柔道整整師として働いている人だけでなく、柔道整復師を目指す社会人にも適用される場合があります。
多くの柔道整復師養成校が、専門実践教育訓練給付金の対象講座として指定されています。
そのため、異業種からの転職を考えている社会人が柔道整復師の資格取得を目指す際に、この制度を活用して学費の負担を軽減することが可能です。

入学前に雇用保険の加入期間などの支給要件を満たしていれば、最大で学費の70%の給付を受けながら学ぶことができます。
キャリアチェンジを検討している人にとって、経済的なハードルを下げる大きな助けとなる制度です。

まとめ

柔道整復師がキャリアの選択肢を広げ、変化する社会のニーズに応え続けるためには、リスキリングによる新たな知識やスキルの習得が極めて有効です。
鍼灸師やアスレティックトレーナー、ケアマネージャーといった関連資格を取得することで、専門性を高め、活躍の場を広げることができます。

資格取得に際しては、専門実践教育訓練給付金などの公的支援制度を活用することで、経済的な負担を軽減しながら学ぶことが可能です。
自身のキャリアプランを見据え、適切な資格を選び、利用できる制度を調べて計画的に学び直しを進めることが、将来のキャリア形成において重要なステップとなります。

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