肩甲骨が痛い原因とは?ストレッチなどの対処法で首・肩こりも解消
肩甲骨周りに痛みを感じると、仕事や家事に集中できずつらいものです。
この痛みは、首や肩こりと深く関係していることが多く、根本的な原因を知ることが症状改善の第一歩となります。
この記事では、肩甲骨が痛くなる原因を筋肉や骨格の問題、内臓の不調という観点から解説し、自分でできるストレッチなどの対処法から、具体的な治し方、再発を防ぐための対策まで詳しく紹介します。
つらいこりや痛みを解消するためのヒントを見つけてください。
なぜ肩甲骨が痛むの?考えられる2つの原因
肩甲骨のあたりが痛む時、その理由として主に2つの原因が考えられます。
一つは、多くの人が経験する筋肉や骨格に由来するものです。
これは、長時間同じ姿勢でいることや、運動による負荷が原因のよくあるケースです。
もう一つは、見過ごされがちですが注意が必要な、内臓の不調が原因で起こる痛みです。
体の内部にある病気のサインが、神経を通じて背中や肩甲骨のところへ痛みとして現れることがあります。
筋肉や骨格のトラブルが引き起こす痛み
肩甲骨の痛みの多くは、筋肉や骨格の問題に起因します。
スポーツによる怪我や、寝違えた時、ぎっくり首のような急性の炎症は直接的な原因です。
また、日常的な猫背や反り腰といった姿勢の癖は、肩甲骨の間や内側にある僧帽筋などの筋に持続的な負担をかけ、痛みを引き起こします。
腱板断裂や、頚椎症のように頚椎や胸椎といった背骨の変性が原因で、神経が圧迫されることもあります。
痛みは右の肩甲骨や左側だけなど片方に出ることもあれば、左右両方に出ることもあり、時には腰や脇、腕、二の腕、肘から指にかけて広がります。
頭の横や脇腹、肋骨、鎖骨のあたりまで痛みが及ぶ場合は、リウマチなどの可能性も考えられます。
長時間同じ姿勢による肩や首のこり
デスクワークでのパソコン作業やスマホの長時間利用は、無意識に前かがみの姿勢を招きます。
この姿勢が続くと、肩甲骨から首にかけての筋肉が常に緊張状態となり、血流が悪化します。
血行不良は筋肉内に疲労物質を蓄積させ、つらい首こりや肩の痛みを引き起こすのです。
重いリュックを毎日背負うことも、肩周りの筋肉に大きな負担をかけます。
また、精神的なストレスや目の疲れも筋肉をこわばらせる一因となります。
夜の睡眠が不十分だと、日中に蓄積した筋肉の疲れが回復しきれず、痛みが慢性化しやすくなります。
加齢に伴う五十肩(肩関節周囲炎)
40代から50代にかけて多く見られる五十肩(肩関節周囲炎)も、肩甲骨周辺に痛みを引き起こす代表的な疾患です。
これは加齢によって肩関節を取り巻く組織が炎症を起こし、癒着することで痛みや動きの制限が生じる状態を指します。
四十肩とも呼ばれ、主な症状として腕を上げる動作が困難になったり、夜間に痛みが強まったりすることが挙げられます。
初期段階では鋭い痛みを感じ、進行すると肩が固まって動かせる範囲が極端に狭くなる「凍結肩」という状態に移行することもあります。
首の骨の変形(頚椎椎間板ヘルニアなど)
肩甲骨周辺の痛みやしびれは、首の骨である頚椎に原因があるケースも少なくありません。
その代表的な疾患が頚椎椎間板ヘルニアです。
これは、頚椎の骨と骨の間でクッションの役割を果たしている椎間板の一部が飛び出し、近くにある神経を圧迫することで発症します。
神経が圧迫されると、その神経が支配する領域である首から肩、腕、指にかけて鋭い痛みやしびれが放散します。
首を後ろに反らしたり、特定の方向に傾けたりすると症状が悪化するのが特徴です。
注意が必要!内臓の病気が隠れているケース
肩甲骨の痛みが、単なる筋肉や骨の問題ではなく、内臓の病気からくるサインである場合もあります。
特に、安静にしていても痛みが治まらなかったり、突然激しい痛みに襲われたりした際は注意が必要です。
これは関連痛と呼ばれ、心臓や肺、膵臓などの疾患が、神経を介して肩甲骨周りに痛みとして現れる現象です。
中にはがんのように命に関わる病気が隠れている可能性もあるため、普段とは違う異常な痛みを感じた場合は、自己判断せず速やかに医療機関を受診することが求められます。
胸の痛みも伴う心臓の病気
左の肩甲骨や肩、腕の内側にかけて広がるような痛みは、心臓の病気が原因である可能性を疑う必要があります。
特に、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患のサインとして現れることがあります。
これらの病気は、心臓の筋肉に血液を送る血管が狭くなったり詰まったりすることで起こります。
主な症状は胸の圧迫感や締め付けられるような痛みですが、その痛みが背中や左肩に放散することが特徴的です。
体を動かした時に症状が強まる場合は、特に注意が必要であり、命の危険もあるため直ちに専門医の診察を受けるべきです。
背中に広がる消化器系の不調
右側の肩甲骨下部や背中に痛みを感じる場合、胆のうや膵臓といった消化器系の不調が考えられます。
例えば、胆石や胆のう炎では、脂っこい食事を摂った後に右の背中や肩に痛みが出ることがあります。
また、みぞおちから背中にかけて突き抜けるような激しい痛みは、急性膵炎の典型的な症状で、過度な飲酒、大量の酒を飲んだ後に発症しやすいです。
吐き気や嘔吐を伴うことも多いです。
その他、突然の背中の痛みと息苦しさがある場合は、肺に穴が開く気胸という病気の可能性も否定できません。
これらの症状は専門的な治療を要します。
肩甲骨のつらい痛みを緩和するセルフケア方法
肩甲骨周りのつらい痛みは、日常生活に支障をきたすことがあります。
痛みの原因が筋肉の疲労や血行不良によるものであれば、セルフケアによる対処で症状を和らげることが可能です。
ただし、痛みが非常に強い場合や、急に痛み出した場合は、無理なセルフケアはかえって症状を悪化させる恐れがあります。
まずは安静を第一に考え、自分の体の状態に合わせて、ストレッチや市販薬などを上手に活用することが、効果的な対処につながります。
無理は禁物!まずは安静にする
寝違えやスポーツによる怪我など、急性の強い痛みが肩甲骨周りに生じた場合、何よりもまず安静にすることが大切です。
炎症が起きている可能性が高く、無理に動かしたりマッサージをしたりすると、かえって炎症を広げ、症状を悪化させてしまう危険があります。
痛みを感じる動作は避け、楽な姿勢で過ごしましょう。
特に仰向けで休む際は、膝の下にクッションや丸めたタオルを入れると、腰への負担が減りリラックスしやすくなります。
痛みが少し落ち着いてから、ゆっくりと動かし始めるようにしてください。
肩まわりの緊張をほぐす効果的なストレッチ
慢性的なこりや筋肉の緊張からくる痛みには、ストレッチが有効です。
特に「肩甲骨はがし」と呼ばれる体操は、肩甲骨に付着している固まった筋肉を動かし、可動域を広げるのに役立ちます。
両腕を前回し・後ろ回しに大きく動かしたり、背中の後ろで手を組んで胸を張ったりするだけでも、肩周りの筋肉の伸びを感じられます。
強い痛みを感じるような無理な動きや筋トレは避け、あくまで気持ち良いと感じる範囲でゆっくり行いましょう。
肩の付け根にあるツボを押すのも効果的です。
このトレーニングを日常的に続けることが、痛みの予防と緩和につながります。
市販の湿布や痛み止めを活用する
痛みがつらく、日常生活に支障が出る場合は、薬局で購入できる市販薬を利用するのも一つの手段です。
炎症を伴う痛みには、消炎鎮痛成分が含まれた湿布や塗り薬が効果を示します。
一般的に、急性の痛みや熱感がある場合は冷湿布、慢性的なこりや血行不良が原因の場合は温湿布が適しています。
どちらを選ぶべきか迷った際は、薬剤師に相談するとよいでしょう。
また、痛みがひどい時には内服タイプの痛み止めの薬もあります。
ただし、これらはあくまで一時的な対症療法であるため、長期間にわたって使用することは避け、症状が改善しない場合は医療機関を受診してください。
専門医に相談すべき症状と診療科の選び方
セルフケアを続けても痛みが改善しない、あるいは悪化する場合には、専門医による正確な診断と適切な治療を受ける必要があります。
肩甲骨の痛みの原因は一つではないため、自身の症状を正しく把握し、それに合った診療科を選ぶことが早期回復への鍵となります。
ここでは、放置すると危険な症状のサインや、どの科を受診すればよいかの目安について解説します。
自己判断で済ませず、専門家の助けを借りることも重要な選択肢です。
息苦しさや痺れなど危険なサインを見逃さないで
肩甲骨の痛みに加えて、他の症状が現れた場合は特に注意が必要です。
腕や手のしびれ、力が入りにくいといった症状は、頚椎ヘルニアなどによる神経の圧迫が疑われます。
また、息苦しい、呼吸が困難、胸の痛みや圧迫感を伴う場合は、心臓や肺の病気の可能性があり、緊急を要します。
原因不明の発熱が続く、患部が赤く腫れて熱を持っている場合も、単なる筋肉痛ではないかもしれません。
これらの危険なサインが見られる時や、転倒などの外傷後に激しい痛みが続く場合は、迷わず医療機関を受診してください。
症状の程度によっては救急車の要請も検討すべきです。
症状別!整形外科や内科など適切な診療科
肩甲骨の痛みで病院へ行く場合、どの診療科を選ぶべきか迷うことがあります。
痛みの原因が、明らかに怪我や寝違え、姿勢の悪さなど、筋肉や骨、関節にあると考えられる場合は、まず整形外科を受診するのが適切です。
一方、胸の痛みや息苦しさ、発熱、吐き気といった症状を伴う場合は、内臓の病気が原因である可能性を考慮し、内科や循環器内科、消化器内科などを受診しましょう。
原因がはっきりせず、どの科に行けば良いか判断に迷う場合は、まずかかりつけの内科医に相談し、診断に応じて専門の診療科を紹介してもらうとスムーズです。
肩甲骨の痛みを再発させないための予防策
一度経験した肩甲骨のつらい痛みを、再び繰り返さないためには、日々の生活習慣を見直すことが不可欠です。
痛みが治まった後も、その原因となった行動を続けていれば、やがて症状は再発してしまいます。
ここでは、日常生活の中で意識的に取り組める予防策をいくつか紹介します。
姿勢の改善、適度な運動習慣、体を温めることなどを心がけ、痛みのない快適な体を維持していきましょう。
PC作業やスマホ操作時の姿勢を見直す
長時間のデスクワークやスマートフォン操作は、肩甲骨周りの筋肉に大きな負担をかけます。
特に、画面をのぞき込む際に首が前に出る「スマホ首」の状態は、首から肩にかけての筋肉を常に緊張させ、痛みの原因となります。
これを防ぐためには、パソコンのモニターを目線の高さに調整し、背もたれのある椅子に深く腰掛けて背筋を伸ばすことを意識してください。
スマホを使用する際は、できるだけ顔の高さまで持ち上げて操作し、うつむく時間を短くする工夫が必要です。
定期的に休憩を取り、軽いストレッチで体をほぐすことも忘れないようにしましょう。
日常生活にウォーキングなどの軽い運動を取り入れる
運動不足による筋力の低下や血行不良は、肩甲骨周りの痛みを引き起こしやすくします。
痛みの再発を防ぐためには、日常生活に軽い運動を取り入れることが非常に効果的です。
特別な筋トレでなくても、例えばウォーキングのような手軽な有酸素運動を習慣にするだけでも、全身の血流が改善されます。
歩く際には、腕を意識的に大きく振ることで、肩甲骨周りの筋肉が自然と動き、柔軟性を高めることができます。
無理のない範囲で継続することが、筋肉の緊張を和らげ、痛みの起こりにくい体を作る上で重要です。
入浴などで体を芯から温める
体を温めることは、筋肉の緊張を緩和し、血行を促進する上で非常に有効な予防策です。
シャワーだけで済ませるのではなく、毎日湯船に浸かる習慣を持つことをお勧めします。
38~40度程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、全身の血流が良くなり、リラックス効果も得られます。
風呂から上がった後、体が温まっている状態でストレッチを行うと、筋肉が伸びやすくなり効果が高まります。
特に寒い日や冷房で体が冷えたと感じた時には、蒸しタオルやカイロを使って首や肩甲骨の周りを直接温めるのも良いでしょう。
体を温めると痛みが和らぎ、こりの予防につながります。
まとめ
肩甲骨の痛みの原因は、長時間の同一姿勢による筋肉のこりや血行不良、加齢に伴う五十肩や頚椎の疾患、さらには心臓や消化器系の内臓の病気が隠れているケースまで様々です。
筋肉疲労が原因の場合、安静にすることやストレッチ、市販薬の活用といったセルフケアで症状が緩和することもあります。
しかし、手のしびれや息苦しさ、胸の痛みといった危険なサインを伴う場合は、自己判断せず速やかに整形外科や内科などの医療機関を受診することが重要です。
痛みの再発を防ぐためには、日頃からPCやスマホ操作時の姿勢を見直し、適度な運動や入浴で体を温める習慣を取り入れることが推奨されます。
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